読んだ→「納品」をなくせばうまくいく
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納品のない受託開発をやっているソニックガーデンの倉貫さんの著書で、最近ちょっと話題になってる「『納品』をなくせばうまくいく」を読んだ。受託開発をやったことがある人は「あるある〜w」と共感しながら読めるのでなかなかオススメ。
「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識"を変えるビジネスモデル
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あるある
要件定義は「予言」
本当にその通りだと思った。同じく、金額の見積もりも予言だと思う。特にアジャイル的にやりたい(→仕様をかっちり決められませんという理由で)というプロジェクトを一括請負でやろうとすると予言力が要る。
開発会社にとっては人月を積めるほうがおいしい→エンジニアのモチベーションダウン
これは超あるある。
技術力をつけてかかる時間を減らせるようになると、請求できる人月が減ってしまいむしろビジネス的には損という構図がある、という話。それに加えてあると思うのが、早く仕事を終わらせても次の仕事を詰め込まれるだけという仕事のやりかた。そりゃ、終わったなんて報告ギリギリまでしませんわな。
新規事業と一括請負の相性は最悪
これは本当に相性が悪い。スタートアップ的なプロダクトは普通はユーザーからのフィードバックを基にどんどん改良していくものだけど、それを一括請負するということは開発費は一定額しかもらえないということ。一定額でいつ終わるかもわからない仕事になってしまい、金銭的にも精神的にもつらい。これをやってしまったことがあるので本当に反省。
ちょっと考えたこと
「目的と手段を混同せず、最終的なゴールに早く到達することができる開発手法」という記述があったけど、これはインセンティブの観点から見ても理にかなっていると思った。
従来の一括請負の受託開発でも作ることが目的にならないようにできるはずだけど、事業目的の共有までできているという話はあまり聞かない気がする。作ることが目的になっているケースも多いんじゃないかな。
思うに、一括請負の場合には事業目的を共有することにインセンティブがほとんどないことが背景なんじゃないかな。事業目的を共有してお客さんの事業がうまくいくようにしたところで開発会社のメリットは少なくて、言われた通りのシステムを作ってお金をもらうという側に自然と傾き易いんだと思う。
その反面、ソニックガーデンがやっている納品のない受託開発の場合は、クライアントの事業継続が売上につながるという点で、事業目的をきちんと確認することにインセンティブがある。双方が幸せになりやすいビジネスモデルっぽくて良い。
期待
大規模なシステム開発には向かない、という意味の記載があった。けど、そういう案件こそシステム業界の闇だと思うから、その辺りにも適用できるようなビジネスモデルになっていってくれないかなと期待している。